岡部 文香 (Ayaka Okabe)

1987年愛知県で生まれる。父の仕事の関係から、写真に触れることが多い環境の中で幼少期を過ごす。人や生物、もの、自然物が垣間見せる姿や時間を切り取り、記録することに潜在的に興味を持っていたように思う。名古屋学芸大学映像メディア科を卒業後、映像制作会社で広告映像の制作に数年間携わったが、この頃から次第に対象の内面を映像ではなく、三次元的な立体物として捉えたいという思いが強くなる。現在、富山ガラス造形研究所でガラス造形を学び、ガラスを媒体とした人の思いなどを、抽象的なものへ表現、制作していくことに挑戦している。

研究テーマ

「画像のガラスへの転写及びガラス・コラージュによる立体化の検討」

ガラスを抽象的で曖昧なものを表現するキャンバスと捉え、『青写真』や『コラージュ』の技法により思いや記憶を表出させ、これを媒体とし、私と鑑賞者との間で記憶の共有をすることを狙っていく。

ガラスについて

ガラスは工業製品から雑貨まで、私達の生活の身近にある素材である。特性として、脆さ、割れやすさ、鋭利さ、多様な透明性があり、温度帯により形が様々に変化する。その自由な性質から、繊細さや緊張感を感じることができる。また、雲のように曖昧で抽象的であり、変幻自在な水のように、流動的なイメージをもたらすように思う。私は存在の曖昧なものやことが好きで、透明なガラスに対して、その要素を感じやすく思うので、作品制作を進めていくのに適した素材だと感じる。ガラスを媒体とした作品に対し、見るものは自由なイメージをもたらし、ときには製作者や鑑賞者達の間にそれぞれが持つ思い・記憶の交換・交流を可能にすると感じる。私は、鑑賞者や製作者の間に共感の場を、ガラスという素材をもって、作品によって生み出していきたいと思う。

私の興味について

小さい頃から博物館や美術館、収集したものを保存、閲覧できる空間に興味があるし、とても好きな場所である。特に感動したのは、ドイツにある自然史博物館。ドイツの旅行中、開館から閉館の時間まで滞在した場所は、その場所のみだったと思う。たぶん、人生の中で一番好きな場所かもしれない。身につける物でも古着が多かったり、誰かの物だったというエピソードや歴史がある物に興味を持ち、好きになり、手に入れたいという願望が強くある方だと思う。その物にエピソードがあることで、様々な人の手を渡り、私の手元に行き着いたのだと考える。これが巡り合わせなのだと、強い運命を感じずにはいられない。心が震えるという感覚だろうか。その感覚を、その物を見たり触ったりすることで、ずっと感じ続けていたい、大事にしたい。だから、私はコレクションする。集めることが好きだし、これからもずっとやめることのできない行為である。

名古屋芸術大学での研究発表




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